OPUS 魂の架け橋【感想・レビュー】

レビュー・感想

『OPUS 魂の架け橋』は、台湾のSIGONO開発による終末世界を舞台とする静かなアドベンチャー。

「OPUS 魂の架け橋」は大災害後の物語。

孤独に置かれた少年と少女は終末後の世界で先人たちに代わり「宇宙葬」を行う。
死やすべての絶望を飲み込み、終わりの日に亡くなった霊魂達に安息を与える為に、彼らは決心した。力不足かもしれないが、霊魂(みんな)の声に応え「宇宙葬」を完遂させる事を。

ゲームをクリアするまでの所要時間はそれほど長くありませんが、そのぶん演出にこだわった1本の映画を堪能するような、素敵なひと時を味わえる作品です。

ゲームのシステムは非常にシンプル

ゲームのシステムは、スマートフォン用としてもリリースされているだけあって、非常にシンプルです。真上から見下ろした街を移動して、ロケットを打ち上げるために必要な材料を探し、工場に持ち帰ってロケットや探索用の機器を開発する、この繰り返しです。

移動によって時間が経過していくため、1日のうちに探索できる範囲はそれほど広くありません。

現時点で何の材料が必要なのかについては、街の探索中、いつでもメニューを呼び出して確認することができます。

いくつもの部品を揃えないと作れない物もありますが、ゲームをクリアするのに必要な範囲に限れば、部品集めはそれほど難しくありません。

最初は探索用のアイテムが少ないため、行動範囲にも制限がかかっています。部品を見つけて探索用アイテムを作るたび、しだいに移動できる範囲が広がっていく仕組みです。

他のゲームと比較してそれほどフィールドが広いわけではありませんが、段階的に探索範囲が広がるのでプレイしていて迷いにくい作りです

美しい音楽とともに、静かに進行する2人の物語

物語は、ロケット技師の息子とコールドスリープで眠っていた巫女の2人がメインで進行します。というよりも、疫病が流行して人類が滅びかけた世界なので、ゲームのプレイ中はほぼこの2人のみの会話で進みます。

大きなイベントや派手な展開はありませんが、過去と現在が交互に描かれ、丁寧にストーリーが展開していきます。

『OPUS 魂の架け橋』、2人以外の人の気配がない冬が舞台となっていることもあって、全編、非常に静かな雰囲気です。

街を歩いても住人は現れず、霊魂の強い記憶の残滓から、過去の存在浮かび上がってくるだけ。2人のやり取り以外は、残されたアイテムや資料を通して間接的に状況が明らかとなっていきます。

上で触れたアイテムの収集や作成も、地味といえば地味な作業なので、静かな雰囲気も含めて合う人には合う、合わない人には単調で合わないとはっきりしそう

ピアノを基調とするBGMは、印象的かつ感傷的。雪が振る、2人だけの静かな冬の世界を彩ります。たまにBGMが途絶えて無音になることもあるのですが、それがまたもの悲しさを一層濃くする演出として効いています。

ロケットの製造を通じて2人の関係が丁寧に描かれる

失うことが怖くて受け入れることのできない主人公と、自らに課せられた責務を全うできず悩む巫女。お互いのことを分かっていても、つい意地になりすれ違ってしまう。

何度もロケットの打ち上げに失敗し、それでも、わずかな希望に賭けて厳しい冬を耐える2人。

登場人物の心境とプレイヤーの記憶が少しでも重なれば、ゲーム終盤は感情が大きなうねりとなって押し寄せるはず。

エンディングまで数時間程度の短い作品なので、ヘッドホンで風や足音、そしてピアノが印象的なBGMに包まれながらプレイしてもらいたい作品です

OPUS 魂の架け橋
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