ヴァンブレイス:コールドソウル【感想・レビュー】

レビュー・感想

『ヴァンブレイス:コールドソウル』(VAMBRACE : COLD SOUL)は、コーラスワールドワイドからリリースされた横スクロール型のローグライク・アドベンチャーです(開発はDevespresso Games)。

ある運命の日、不思議な腕甲を身につけた見知らぬ女性が、触れただけで命を奪う大氷蔽を突破し、アイセネアの街中で行き倒れているところを捜索隊が発見する。彼女はいま、生き残った人々唯一の希望かもしれない。

公式 https://chorusworldwide.com/vambrace-jp/

派手さはそれほどありませんが、全体的に手堅くまとまった、魅力ある1本です。特にTRPGやゲームブックにハマった人におすすめ!

ヴァンブレイス:コールドソウルのシステム

『ヴァンブレイス:コールドソウル』は、街で仲間を募ってアイテム・装備品を整え、ダンジョン(正確には氷に閉ざされた街の居住区や工場区、寺社区など)を探索するサイクルでゲームが進みます。

ダークな世界観と横方向スクロールであること、体力の他に活力というパラメータが用意されていて、体力がゼロに至ったときだけでなく活力がゼロになってもキャラが死んでしまうことなどから、本作品から『ダーケストダンジョン(Darkest Dungeon)』を連想する方も多いようです。

Darkest Dungeon

実際、このタイトルの開発は『ダーケストダンジョン』からインスパイアされているようですが、『ヴァンブレイス:コールドソウル』のほうがストーリー主導型で、全体的にライトなテイストです

『ダーケストダンジョン』が陰鬱すぎて(あるいはパラメータなどが多すぎて)挫折してしまった人でも、ちょっとした慣れは必要ではあるもののそこまで気負わずに遊べます。

ぶっちゃけ、活力のほうはそこまで気にせずとも進めることができますし。

ゲーム開始直後は色々な数値や状態異常が生じて悩まされますが、ストーリーを少し進めるうちに最低限押さえておかなければゲームオーバーとなってしまう部分は見当がつくようになるので、大雑把に進めていても途中でなんとかなります。

『ヴァンブレイス』のジャンルはローグライクRPGではなく、ローグライク・アドベンチャーとされていることにも、その辺が現れていますね。

様々な職業から4人パーティを結成

主人公は冒険家リリック、オッドアイの美人さんです。プレイヤーはリリックを操作しつつ、他のパーティメンバー3名を加えて冒険を進めることになります。

パーティに勧誘できるキャラの職業は竜戦士、勇剣士、血呪使い、影術士、狐弓師、狐盗、森魔道士、聖戦士、猟兵、狂戦士と10種類用意されていて、職業ごとに個性も大きく違います。

そのため、パーティをどのように編成するかによって、探索の進め方やザコ敵との戦闘、ボスとの戦いが大きく変わってくるのが『ヴァンブレイス:コールドソウル』の面白いところです。

攻撃系と探索系を混在させるほうがオールマイティではありますが、特化していないぶんボス戦ではなかなか相手を倒せない事態に陥る危険も。

ただし、アイテムを収集して装備品を作ることによって、探索型のキャラの戦力アップも可能。パーティは、ビジュアルなどプレイヤーの好みで選んでいってもOKです。

画像はパーティメンバーではありませんが、ヴァンブレイスの世界には狐系の種族がいるので、獣耳な仲間で周囲を固めることもできますよ。

経験値によるレベルアップが無い

『ヴァンブレイス:コールドソウル』の大きな特徴として、主人公を含めてパーティメンバーには戦闘などの経験値によるレベルアップがないことが挙げられます。

そのため、敵と戦ってレベルアップして、ザコやボスより優位な状態からのボコ殴りという戦法がとれません。

アイテム作成のための素材集めや、パーティメンバーをチマチマとレベルアップさせることがとにかく好きという人には、このシステムが物足りなく感じてしまうかもしれません。

ただし、レベルが上がらないからこそ今ある戦力、手元にあるアイテムでどのように探索を乗り切るか、各区画の奥に潜む手強いボスをどうやって倒すかという緊迫感が常に存在することになるので、この点は『ヴァンブレイス:コールドソウル』の長所として機能しています。

本タイトルはそこそこローグライクではあるかもしれませんが、装備品を収集しても劇的に強くなるわけでもなく、レベルアップで強化できるわけでもないため、いわゆるハクスラ的な要素はだいぶ低めです。

そのぶんストーリーが重視されつつ、前述のように戦闘では殺るか殺られるか、ギリギリの緊張感が味わえるシステムになっています。

主人公以外のキャラは死んだら即ロスト!

『ヴァンブレイス:コールドソウル』のもう1つの大きな特徴は、主人公リリック以外は体力(または気力)がゼロになった時点で即、死んでしまい蘇生させることができないことです。

死亡イコール、ロスト。文字通り「帰らぬ人」となってしまいます。長く冒険を続けてきたメンバーであるほど、ボスの一撃が強力であるほど、体力が減ったときの緊張感が半端ないです。

『Wizardry』だって、死んだ後に灰くらい残るのにね。

そしてキャラがロストする際、そのキャラに割り振っていた装備品も一緒に消滅してしまいます。

「アイテム同士を合成して、さらにそのアイテムを別のアイテムと合成して、ようやくできあがったレアな装備品を弱いキャラに装着させたいけど、もし装備ごとロストしてしまったらどうしよう?」

そんな葛藤もまた、本タイトルの楽しいところです。

ゲームの進行は自動的にセーブされる

『ヴァンブレイス:コールドソウル』では、ゲームの進行が自動的にセーブされていきます。

街に戻ったとき、ボスを倒したときなど区切りのよいところで自動セーブが入るわけではなく、何か行動を起こすたびに逐一、進行がセーブされる仕組みです。

ということで、「メンバーがロストしたからリセットしてやり直そう」は許してもらえません。

レベルアップが無い、死んだらキャラ消滅、自動セーブ。この3つの特徴によって、上の画像のようにギリッギリで戦闘に勝利したときの喜びは格別です。ちょっと触れましたけど『Wizardry』とか好きな人は、食指が動く部分かもしれませんね。そういえば『BUSIN』を彷彿させるとツイートされていた方も。

部屋を移動しながらの探索

街から外へ出れば、魔物たちが跋扈する世界が広がります。居住区、工場区など区画(全体マップ)が分かれており、各区画内にいくつもの探索エリア(個別マップ)が存在する構造です。

各エリアは10個程度の部屋で構成され、どのルートで探索するかによってアイテムを得られるか否か、キャンプで休憩して体力等を回復できるか否か、敵が出現するか否かが決まります。

運良く進めばアイテムを入手しながらキャンプで体力と活力を回復して、悠々とそのエリアを抜けられます。逆にハズレのルートばかり選んでしまうと、エリアを抜けるまでに何度も戦闘を重ねなくてはなりません。

なかなか気づかない人もいるようなので補足しておくと、個別マップの各部屋にはカメラの方向が記されています。これを頼りに、画面手前が右なのか左なのか(あるいは上なのか下なのか)把握しながら進むと出口まで無駄なく移動することができます。

探索は、パーティメンバーの体力や気力、そして所持アイテムとの兼ね合いで、どこまで進めるか判断するのが難しくも楽しいところ。ボスの直前まで到達したものの、残り体力が十分ではないため街へ戻って出直すか(この場合は再度、ボスのいる場所まで探索を進めなければなりません)、それとも一か八かでボスに戦いを挑んでみるか。プレイしていて大いに迷うところです。

適度なスケール感とまとまりの良さ

『ヴァンブレイス:コールドソウル』の音楽やグラフィックは、ゲームクリアまでの規模のわりには、なかなかに力が入っています。この辺もインスパイア元である『ダーケストダンジョン』と似ている部分もありますが、よくあるファンタジー風の設定とBGMなれどもリリックの冒険を素直に盛り上げてくれます。

音にもこだわりを感じました。

ローグライクとはいえ、ストーリーもオマケ程度に添えられているのではなく、西洋風のハイファンタジーがテキスト量多めでしっかりと展開されるのも特徴ですね。

イベントでの会話の情報量が多く、つい先に進みたくて読み飛ばしてしまうと、物語の魅力だけでなく誰が誰だったか名前が把握できなくなってしまうことも。そうなると「誰々のもとへ行け」といった簡単なサブイベントの進行もままならなくなるため、序盤こそ目を通しておくと安心です。

本タイトルは章立てでストーリーが進行。これだけでも、ダンジョン探索に加えてストーリーも重視されたゲームなのだということが分かりますね。

各章は基本的に、ボスを倒した後に次へと進む構成になっています。その際に差し挟まれるイベントシーンやムービーは、ゲーム内とは多少タッチを変えたグラフィック。ビジュアル面でも盛り上げてくれます。

好敵手イザベルなど、登場するキャラクターもそれぞれが描き分けられていて魅力的。

本タイトルはクリア後の隠し要素などはありませんが、だからこそストーリーがしっかり収束して、全体として適度なスケール感とまとまりの良さを感じさせてくれます。

TRPGの手触り

以上、『ヴァンブレイス:コールドソウル』の特徴を挙げました。このタイトル、個人的にはTRPG(テーブルトークRPG)風、ゲームブック的な雰囲気と手触りを強く感じる作品でした。

これはデジタルなRPGに顕著な膨大な経験値稼ぎや桁の多いパラメータがなく、アナログでも管理可能な範囲の数値にとどまっていること、各ダンジョンの仕掛けやトラップもテキストと一枚絵で状況が説明されること、所持可能なアイテムもパーティ全員の携帯能力に左右され一度に多くのアイテムを冒険へ持ち出せないこと(アドベンチャーシートに書き込めるくらいの範囲、って言えば分かりやすいですか?)など、様々な要素をとおしてアナログ的な印象を受けるからでしょう。

ゲーム制作者であるゲームマスターと、一緒に遊んでいるような気分になることも。

(施設内マップも、分かるような分からないようなアナログさがいい感じ)

途中、成功するか失敗するか運試しとなるイベントについてはさすがに古さを感じさせるものの、全体としては懐かしい手触りの中、ストーリーが1本通った中編のファンタジーを現行機種で楽しむことのできるゲームに仕上がっています。

S.ジャクソン、I.リビングストンややD&D、T&Tなどの名前にピンと来る人なら、遊んでいて懐かしくも楽しいタイトルでは。そんな人に「楽しい新作、出たよー」って勧めたい。

リリックの衣装集めがお楽しみ要素

既に触れたとおり『ヴァンブレイス:コールドソウル』には、より強力な武器や防具を探してダンジョンをさまようハクスラ要素はほとんどありません。代わりに、このタイトルでは主人公リリックの衣装集めというお楽しみ要素が添えられています。

いかにも冒険家風な衣装も多数用意されていますが、かなり変わった衣装や、中にはもはや衣装とも呼べないような代物も。

単にステータス画面が変わるだけでなく、ちゃんと移動キャラや戦闘時のモーションも変化して、さらにはイベント時の表情まで変化するものも多いので、『ヴァンブレイス:コールドソウル』制作者の衣装へのこだわりは半端ないです。労力の半分をここに割いたんじゃなかろうか、とさえ。

ゲーム内の選択肢でどちらを選ぶかによって、どの衣装が手に入るか変化するイベントもあるため、1回のプレイでリリックのすべての衣装を集めることはできません。

そのためゲームクリア後、パーティやアイテムなどは2周目に一切引き継ぐことができませんが、衣装だけは取得したぶんそのままで進めることができる仕組みになっています。

だからといって1周目では奇抜な衣装をゲットできず、2周目以降にその機会が引き延ばされているかといえば、そんなこともありません。リリックの衣装選択によっては、各イベントでのやり取りだけでなくラスボス戦でさえ1周目からコメディ化させてしまうことも可能です。

月に代わって、何とやら。

他のゲームの合間にちょっと遊ぶのもよし

『ヴァンブレイス:コールドソウル』は、ゲームシステムを把握していない序盤こそ複雑に感じるかもしれませんが、慣れると非常にシンプルな構造でゲームが進行していることが分かります。

探索に出発して、戦利品を得たら街へ帰還。基本的にはその繰り返しでもあることから、他のゲームの合間に「次の区画まで進めておこうか」というライトな遊び方でも十分楽しめる作品です。

とはいいつつも、プレイを再開してしまえば、あと少しあと少しと思いつつ結構長い時間遊んでしまうんですけどね。