ディスティニーコネクト【感想・レビュー】

レビュー・感想

『ディスティニーコネクト (DESTINY CONNECT)』は、日本一ソフトウェアが完全新規のタイトルとしてPlayStation4とNintendo Switch向けにリリースしたRPGです。

主人公たちのキャラクターデザインやモーションがかわいい

『ディスティニーコネクト』の物語は、2000年を迎えた瞬間になぜか時が止まってしまった街(ただし現実世界とはちょっと異なる世界)を救うため、主人公シェリーと仲間たちがロボット型のタイムマシン「アイザック」とともに過去や未来へ時間移動しながら冒険するジュブナイルです。

この作品、シェリーや友人のペグレオだけでなく、ロボットのアイザックも含めて(そして大抵の敵キャラまで)キャラクターの造形が非常にかわいいです。

主人公のシェリーは水硝玉を使って新しい衣装に着せ替えもできるので、好きな服で冒険を進められるのも嬉しいところ。

衣装もまたかわいいものが多数用意されていて、残念ながらイベントムービーだけはデフォルトの服装のままとはいえ、戦闘は着替えた衣装で様々なモーションを見せてくれます。

ゲームを進めていくとアイザックが変身(フォームチェンジ)できる種類も増えていきます。こちらは着せ替えというわけではありませんが、フォームを変えれば見た目も大きく変わるので、シェリーとアイザックの2人は戦闘シーンを華やかにしてくれます。

そして本作でなにより魅力的なのが、シェリーやペグレオ、アイザックの戦闘モーションです。

シェリーの武器は、なんとドライヤー。このドライヤーを使った攻撃モーションのかわいさにズキューン!とやられてしまった方を、ネット上で多数見かけました。

かくいう私もその一人です。

シェリーのドライヤーに限らず、どのキャラ、どのモーションもなかなかに魅力的です。

主人公パーティには、シェリーとペグレオ、アイザックのほかに過去や未来へ移動した先で新たな仲間が加わります(これからプレイする人のために詳細は省きます)。それらの仲間たちとともに、過去を変えたり現代の問題を解決したりしながら、時が止まった街を救う冒険を進めることになります。

パーティメンバー以外の登場人物も、なかなかに個性的な面々が揃っています。タイムマシンを開発したチートシタイン博士など、どうにもあの有名映画がアタマをよぎりますね。ゲームに限らず、他の作品からのちょっとしたパロディ的な要素もいくつかちりばめられていますよ。

RPG初心者でも安心、至れり尽くせりのフォロー

『ディスティニーコネクト』は、パッケージやゲームのイラストから受ける印象のとおり、低年齢のプレイヤーやRPGをほとんどプレイしたことがない人でも、まったく戸惑うことなく遊べるようなフォローが多数盛り込まれています。

ゲームに慣れないうちは丁寧に操作方法のチュートリアルが表示されることもそうなのですが、ゲームシステム全体が、小難しくならないようにシンプルでわかりやすい構成で作られている点も大きいです。

街やダンジョンを探索するときも、常に右側に2Dマップが表示されているので迷いません。マップの表示サイズも変更可能です。

「3Dってどっち行ったらいいのか分かりにくくて……」という理由で最近のRPGを敬遠ぎみの人でも、常に表示される2Dマップと見比べながら進めることができるので、『ディスティニーコネクト』は苦手意識を払拭するいい機会になるかも。

ただし、カメラについては3D慣れしていない人だと狭い場所でグルグル回って酔ってしまうかもしれません。もしカメラの動きが唐突だと感じたら、早めにシステムでオート設定を解除しておきましょう。

ゲームはクエストをクリアしながら進行しますが、次の目的地が必ず「NEXT」で表示されているため、会話を見逃してしまったり日をあけてプレイするときでも目的地に迷うことが一切ありません。

さらに、行ったことがある場所はファストトラベルで指定するだけで移動可能、なんとも便利かつお手軽です。無駄にマップを歩く必要がないため、RPGでありがちな面倒さが生じません。

下の画面からも分かるとおり、地区を指定するだけでなく東側に移動するか西側に移動するかなど、細かな指定もできるので、目的地までより短い移動でたどり着くことができます。

ちなみに私が遊んだのはSwitchのパッケージ版ですが、エリアの移動や建物に入るときなど頻繁に発生するロードについては、ちょっと一昔前のゲーム感が出てしまっている部分ですね。

画面から受ける印象が多少レトロ調であることからごまかされてしまった面もありますが、ロードの頻度がもう少し減らせれば、よりテンポ良くゲームを進めることができそうです。

選択式のオーソドックスな戦闘

戦闘は、フィールド上を歩いている敵に接触することで突入するシンボルエンカウント方式です。

敵はマップ上でも赤い点として見えていますから、いまのパーティの状況に応じて敵を避けて進むこともできます。ただし上手に避けるためには、ちょっとしたコツが必要。

戦闘時のメンバーはアイザックが参加固定で、それ以外に仲間から2名を選ぶ3人パーティ制です。RPGを遊び慣れている人だと「あと1人参加させたい!」と物足りなさを感じてしまう人数かもしれませんが、ボス戦などでは3人だからこそターンの順番を確認した上で(どの順番で行動できるかは、画面左に表示されます)誰に何をさせるか考えるのも煩雑にならずに済んでいます。

このあたりも、低年齢層のプレイヤーが安心して遊べる要素の1つではないでしょうか。

ちなみに戦闘は完全なコマンド選択式なので、それぞれの仲間に何を指示するかはじっくり考えることができます。

主人公やパーティの仲間にHPはありますが、スキルを発動するために使うのはMPではなく3段階のゲージです。このゲージは戦闘中にも溜まっていくので、「MP切れたから一度街へ戻ろう」といった中断を挟まずにフィールド探索を進めることができます。

経験値については、戦闘に参加しなかった仲間にも参加した仲間同様にバトル後加算されるため、特定のキャラだけレベルアップできないといった弊害も起こりません。

この点、アイザックが固定でそれ以外に2人選択というシステムで、しかも経験値は全員に万遍なくプラスされるとなると、パーティメンバーがどうしても固定しやすくなってしまう弊害はあるかもしれません。

プレイヤーによっては、ほとんど使わないキャラが生じてしまうかも?

戦闘自体は単純すぎず、かといって難しすぎず、RPGとしてほどよい案配でまとめられています。敵には耐性が設定されていますから、属性を考慮せず力押しするとなかなか勝てませんし、ちゃんと攻撃や防御の補助スキルを使わないと苦戦することもあるでしょう。

アイザックは戦闘中にフォームをチェンジすることができますが、この変身に1ターンを費やさずに済むところも、RPG初心者も安心の設計ですね。「あ、やべ。こっちのフォームだとアイザックはあの技が使えないんだった」と思ったら、すぐ別のフォームにその場でチェンジすればOKです。

ちなみにアイザックはフォームをチェンジするだけでなく、スロットにギアを装備して育てていく楽しさもあります。あまり単純になりすぎず、かといって難しくもなりすぎず、ストーリーを楽しみながらほどよいカスタマイズが楽しめます。

上で触れた戦闘シーンでのキャラのモーションですが、毎回時間がかかって間延びしているように感じたら、戦闘中に特定のボタンを押して早送りするなり設定画面から表示をオフにするなり変更が可能です。

ストーリーはSF風なファンタジー

『ディスティニーコネクト』はタイムマシンが登場して過去や未来へ時間を行き来するストーリーですが、全体としてはSFよりもファンタジーよりな展開です。

ご都合主義な展開に違和感を感じるところもあり、扱う内容から「タイムパラドックスとか大丈夫なの!?」と突っ込みを入れたくなるシーンも多々ありました。が、そこまでしっかりSFしている話ではないので「そういうものだ」で割り切って進めてしまいました。

なにより、その時々で誰かしらのキャラが勢いで先へ持って行ってしまいますからね(笑)

それでも、せっかく過去や未来へ時間移動できる話だったので、できれば物語の大筋のみの変化だけではなく、もう少し時間ものならではの仕掛けがいくつか用意されていれば、より楽しめたかな。

過去や未来に行って、その時代の街の人と話す機会ももう少し欲しかったです。

「過去であの行動をとったから現代に戻って来たらここに行けるようになった!」「未来からアイテムを持って帰っちゃったから現代でこんなことができるようになった!」といった、ちょっとした驚きがプレイ時に積み重なっていけば、アイザックとの時間旅行もよりプレイヤーの体験として強く印象づけられたのではないかなと。

まあこの辺は時間に関わる部分だけではなくて、ゲーム全体として本筋以外の脇道がほぼない作りなので、サブクエストなども楽しみたいというプレイヤーには物足りなさを感じさせる要因ですね。

あとは戦闘を含めて年齢の低いプレイヤーにもフォローが行き届いているぶんだけ、大人の観賞にも堪える深みのあるストーリーが用意されていれば(表面上はそれほど小難しくならなくていいので)、もっと光り輝く名作に化けたのではないでしょうか。

大人をジーンとさせることができれば、口コミで次第に評判が広がるきっかけにもなりますし。

とにかくBGMが印象的!

『ディスティニーコネクト』のモーションの魅力については既に触れましたが、あと1つ、この作品全体の大きな魅力となっているのがメロディアスで印象的なBGMです。

もの悲しい静かな曲からロック調の激しい曲まで、どの曲も非常に耳に残ります。ゲームをクリアした後でも、各シーンの曲がすぐ思い出せるゲームは『ディスティニーコネクト』が久方ぶりでした。激しい曲でもヒーリング効果があるような、癒やされるBGMが多いですね。

特に通常戦闘のBGMは印象的。ベタといえばベタなのですが、何度も何度も遭遇することになる敵との戦闘を、そのたびに盛り上げてくれます。

ここでは紹介しませんが、中ボスや大ボスと戦うときのBGMやイベント発生時のBGMも素敵ですよ!

ありそうなのに無いキャラのボイス

BGMとは逆の意味で印象的なのが、『ディスティニーコネクト』には各登場人物に一切「声」が入っていないことです。これはゲーム開始から間もなく慣れてしまいましたが、文字が表示されるときの効果音さえ入っていないので、静かすぎると感じることも。

どんなゲームにもボイスが付いてないとダメという考えはありませんし、プレイヤーそれぞれがシェリーやペグレオの声を想像しながら遊べるメリットもありますが、ボイスがありそうなのに無い状況は、ちょっと気になってしまうところではありますね。

クリアした今となっては「声が一切ないのも含めてディスティニーコネクト」というイメージになってしまいましたが、戦闘時の効果音だけ入れるとか、一部だけ驚きや笑いの声が入るとか、ちょっとしたアクセントは加えてもよかったかもしれません。

ボリューム不足を指摘する声が多いが……

ツイッターやブログなどネット上の感想を見ている限りでは、『ディスティニーコネクト』に対してボリューム不足という感想を抱いている人も多いようです。

クリアまで10時間強と報告されている方もいて、確かにこのタイトルはサブクエストや、やりこみ要素がほとんど無いに等しいので、本筋を一気に進めてしまうとそれくらいの時間で終わることもあるのかもしれません。

特に戦闘を効率的にこなして、演出などもオフにしているプレイヤーは、より短い時間でエンディングまで進んでしまうのかな。

それにしても皆さんクリアを急ぎすぎ、とは思いますが。

私はというと、クリアまでのプレイ時間は26時間ほどでした。パッケージや前情報から受けるイメージがそこまでやりこみ要素などの多いタイトルの印象が無かったので、クリア時間という意味でのボリュームはそのイメージに反せずほどよい程度でした。

ただ、ゲーム進行の全体的なバランスからいうと、後半、特に終盤が間延びしてしまったかなという感は否めません。

同じ26時間程度かかるにしても、前半から万遍なくプレイ時間が割り振られる作りであればそういった印象も抱かなかったと思いますが、最後のボスが絡んでくるところから同じダンジョンの中で話が長すぎたかなと。

敵との戦闘を避けずに進めたプレイヤーほど、終盤はレベルがそれ以上アップしない状態に陥りやすく、バトルも単なる作業になってしまいます。

あとは、時間移動が絡むにしても同じ街を中心に展開する話なので、風景的な新鮮味が少し薄かったかな。そのぶん、お使いイベントでは無くゲームが進行する過程で異なる仕組みのクエストが用意されているとか、ちょっとした違いがあればなおよかったなと思いました。

優しい世界観を持つ安心して遊べるRPG

最後にいろいろと短所を挙げて注文を付けてしまいましたが、『ディスティニーコネクト』はストーリーもそれなりに収束・解決しますし、なにより煩雑な要素がほぼカットされているぶん(それがやりこみ要素やプレイ時間の短さに繋がっていることと表裏ではありますが)本筋に専念させてくれる良作RPGです。

そしてなにより、魅力的なキャラクターや優しい世界観を持ち、さらには素敵なBGMで盛り上げてくれるゲームなんて、あるようで意外と少ないんですよね!

シリーズものではなく新規タイトルとしてリリースされた『ディスティニーコネクト』は、荒削りな部分はあれど光る魅力をいくつも抱いた作品でした。ここから数年後を舞台としたシェリーたちの新たな、もっと密度の濃い冒険を見てみたいですね。